あたしの帰る場所


「ここはきっと……あたしが、いてもいいところなんだ……」

あ、これ17話だ。Gという名の2クール目だ。
そんなG4話、これは――落涙ッ!?


見所しかないシンフォギアG EPISODE4。
Aパートと Bパートの空気の断絶っぷりシンフォギアですね!
B見たら、Aでボコボコにされてたとか思い出せんわ!

とはいえ、頭から熱い戦いに熱がこもりっぱなしなのは間違いないですッ!

マリアをフィーネと語るウェルの言葉に、騒然とする二課面々。
その一方で次の一手を決めあぐねるマリアへ、場の虚を突く翼の一閃。
十全ではなくともその太刀筋の鈍らぬ翼と、全力と語るマリアの一騎打ち!
ギア装者同士の戦いがメインとなる今作は、その一戦一戦が目を離せない攻防を繰り広げてくれます。

堂々たる立ち姿にて烈槍を歌い上げるマリアの力強さは、まさに全力と謳うにふさわしい迫力。
重々しく振りかざす槍と、縦横無尽に貫く外套の一閃の連携は、奏とも響とも違うガングニールの姿を見せています。
それに相対する翼の立ち回りも劣らず冴え渡る。
不定の太刀筋を見せる外套を紙一重での回避や、状況の不利を見るや逆羅刹での翻弄、相手の攻撃へと刹那合わせるカウンターなど、流石一番の歴戦の装者という戦いの上手さを見せています。
この二人は特に一騎打ちが映えます。
両者の似た部分が、戦場にてその鋭さを互いに研ぎ澄ましているのでしょうか。

直前の負傷にて窮地に陥る翼を見かね、横槍をささんとするクリス
一瞬躊躇しているようにも見えましたが……やはりフィーネの転生という事実を知ったせいでしょうか。
彼女にとってのフィーネとは、二課のそれとはまた違った意味の重さがあります。

その刹那、響らを襲う新たな伏兵の姿。
シュルシャガナの百輪廻とともに流れる、もうひとつ装者の歌は「獄鎌・イガリマ」ッ!
ピアノの旋律からのハードな歌唱のロックサウンドは、切歌の勇ましい戦いぶりも伴い滅茶苦茶かっこいいです。
調が響をかく乱しつつ、本命の切歌がクリスを近接にて一気に攻め立てる戦い方も、二人のコンビのよさを感じさせます。
一瞬でソロモンの杖を奪還する手際のよさ、スペックでは劣るものの状況と戦術を上手く使い響らを翻弄するのは上手い見せ方ですね。

一方で膠着する翼とマリアの戦線。
時間の経過に伴い状況は切迫しつつあるなか、マリアが放った「時限式」という言葉。
やはり、聖詠などで予想されていたとおりの、LiNKERによる後天的適合者ということなのか。
翼が回想した奏の姿に、マリアを襲う苦難が垣間見えます。

正義では守れないものを守るため
調が語る言葉には、どういう意味があるのか。
それは二課、響とは相容れないものなのか。
儚く脆いと事を急くナスターシャの言葉は、何を意味するのか。

ネフィリムを手中に押さえながらも持て余す現状、切迫するのはフィーネ側の方。
過ぎた力をその手に携え、彼女らは何をなそうとしているのでしょう。
そして怪しくほくそ笑むウェル博士。あきらかに何かを企んでいる顔です。
この先、彼の手によって事態が悪化することが容易に予想できますが、ナスターシャは何故このような怪しさ爆発な存在をおき続けるのか。
少しづつ目的を見せつつもある組織フィーネの全容は、未だ深淵の中にあります。

戦い終わり、マリアがフィーネの再臨だと(真贋はともかく)知った響の心中は複雑です。
かつて胸の想いを伝え、その想いは少しでも伝わったものだと信じていたはずなのに、今また立ちはだかる影。
響の前に幾重にも立ちはだかる障害は、いまだその黒い影を落としたまま。
今後、それらを前にして響が何を思い何を覚悟するのか。
それが中盤戦からの見所になりそうです。



激しい戦いから一変、動きのないまま再び事態は硬直していました。
蕎麦波田事務次官からの情報で組織フィーネの出自を知る司令ら。
蕎麦食いながら通信するほど忙しい事務次官からの情報は、やはり了子=フィーネの頃よりのつながりを示唆していました。
横流しされた情報と技術が、まだ見ぬ異端技術と新たなシンフォギアをもたらしたと言う事か。
小規模なれど、未だ隠し持った技術が二課を苦しめるだろう事は、想像に難くありません。

一方で、事態は収束を見ずともそこは大人たちが事を成す舞台であり、学生である装者たちは本分の学生生活へと戻っていました。
あっという間に学園祭当日です。4話なのに。このイベントはまだ、前座ということなのかッ!
この重要イベントの連鎖という展開Žに、次の一手を把握しあぐねます。

そんな中で浮かない顔をする響。やはり先だっての事態が暗い影を落としたままなのか。
そこにふと現れるのは、響があったかいところの未来さん(陽だまりメモリア)
1期の和解を経てより強くつながった二人が揃ったときの、この安心感はまさにこっちにとっても陽だまりです。
どこか歪だったり、溜め込んでしまう響ではありますが、それを察していつも寄り添ってくれる未来さんはなくてはならない存在。
たとえバトルメインで出番が少なくても、その安定感にぶれはまったく見られませんねッ!

個人的に見てて楽しかった部分は、切歌と調の潜入パートですね。
二人揃うとコメディ担当、世界観の違うキャラを見せてくれる二人はやっぱりかわいい。
ウェル博士をぼこったり、ロックな歌を歌いながらボディーブローしたりと過激な部分も目立つキリちゃんですが、出店でうまいもんを堪能する姿は自然体な陽気な少女。
うまいもんMAPの完成が目的に摩り替わってるところなんてポンコツ過ぎる……ッ!
これが常識人たるゆえんなのか。かわいい。
いちおうシリアスな理由で来ているんだけども、戦いや響のことに関わらない時はやっぱり世界観が違うノリでやってますよね。
調もいきなりカモネギ発言とか抜けてて。それは鴨じゃないッ! 防人だぞ調ッ!?
ただ二人とも、重い過去や切迫した状況を思わせない陽気さは癒されつつも、どこか儚い明るさに見えてしまいますが。

フィーネ側の描写では、マリアの中のフィーネを不完全な覚醒の状態と解釈していましたが、このへんどうなんでしょうね。
前作は瞬間で了子としての精神を塗りつぶしていましたが、フィーネ自身の変化が要因となったのか。
それともやっぱり、本気の嘘なら後悔しないんでしょうか。
自身をフィーネと騙ることで、レセプターチルドレンを救ったのでしょうか。
なんとなくフィーネという肩書きを自他に掲げる事を、己が不退転の意思としている節が感じられるのは、はたして。
あと、切歌の「(マリアを守るのが)あたしたちの戦いデスッ!」ってフレーズになんとなくデジャヴ感が。どこで聞いたんだろう……?

そういえば、公式で思わぬ人物が歌うと予告されていた今作ですが、その予告どおりに予想外の曲が来ましたね。
例のトリオが来るのは予想されてましたが、まさかの作詞:かねこあきふみッ!!?
熱いレトロ感のある楽曲「現着ッ! 電光刑事バン」の渋かっこよさにしびれるぜーッ!

なお、劇中アニメ電光刑事バンについての詳しい情報は、公式サイト用語設定にて熱くッ! 熱く語られておりますので必見ッ!!
しかしこの熱い一曲(サビ前で終了)ですら、後の前振りでしかなかったことを、このときは知る由もありませんでした。
あと響かわいい。

一方で、相変わらずヤツラの追撃から逃れようとするクリス。またかよ!
そして角でぶつかることから始まるストーリー。なんという学園モノ。ただし女子高。
翼さんとの衝突でエンカウントイベントが発生してしまいました。


なし崩し的に歌の勝ち抜きステージへと連れ出されるクリス。
まさかの登場に響も未来も驚く中、後ろから現れた翼さんの一言。
「私立リディアン音楽院、二回生の雪音クリスだ」
改めていわれると、すっげぇ感慨深いです。

曲が始まっても目を伏せたまま歌いださないクリス。
戸惑い、心配する一同を前に、舞台袖へ目を向けるとそこには、同級生たちの応援する姿
それに勇気付けられたのか、ぎこちないながらも歌い始めるその声に、会場から感嘆の声。
クリスの脳裏に浮かぶのは、転校してきた日の思い出
ずっと無かった日常に戸惑う日々、そんな自分へと声をかけてくれた人への戸惑いからの拒絶。
自分の居場所がなかった少女には暖かすぎる空間に、とまどいを隠せない日々。
それでも、その居心地のよさに、笑顔は隠せない

そんな彼女の姿、笑顔はクラスメイトには筒抜けである。

「すごく楽しそうに歌ってたからッ!」
そういってこの舞台へと参加させたがった同級生。

「雪音は歌、嫌いなのか?」
翼が優しく問いかける。嫌いなわけがない、そう確信したような優しい笑みだ。
歌が好きで仕方が無い彼女の言葉は、クリスの心にも深く届いている。

「笑ってもいいかな……? 許してもらえるのかな……?」
自分のおかれ続けた環境、自分のやってきたこと、それらが素直な感情を妨げてきた。
自責の念はいつもついて周りつづけ、本当の想いとは逆の言葉を吐いてきた。
そんな自分がいまさら。

「精一杯、心から、あるがままに歌ってもいいのかな」
そんな自分を受け入れてくれる人がいて、手を差し伸べてくれる人がいて。
雪のように覆われた彼女の本音が、少しづつ解けていく。

「ここはきっと、あたしがいても良いところなんだ」
心から楽しく歌を歌える自分に気がついた時、自分の居場所を知った。
あたしの帰る場所、それを見つけられたクリスの笑顔。
長かった彼女の葛藤が、あたたかい涙で流れていくようでした。



あぁもう!! 全て、ラストシーンに持っていかれたッ!!!(落涙
1期、常に苦難と葛藤、そして過去の悲しみによって否定することしかできなかったクリス。
響や未来との出会い、司令という大人によって救われた両親との記憶、翼たちに仲間として受け入れられたことで少しずつ変わっていったクリス。
フィーネと戦う覚悟を決め、自身の夢を見つけることができた1期ラストの姿。
それでも2期、なんども過去の自身の行為に葛藤する場面が描かれてきました。
そんな長い間描かれ続けた彼女の内面が、ここに来てひとつの救いを与えられるとは……ッ!!
ありがとう2期。ありがとうG。

曲が素敵とかクリスめっちゃ可愛いとかいろいろあるんだけど、なんかもう「良かったな……」って気持ちでいっぱいです。
歌詞がクリスの本音爆発なんですが、すごく楽しそうに歌えるようになっていくのもあって涙腺が鞘走る勢いでした。
翼の問いかけでグッときたり、「許してもらえるのかな?」許すさ、当たり前だろッ!って言いながらぶわって来たり。

クラスメイトの友達が手を差し伸べるところで「現着ッ! 電光刑事バン」のテロップテロが入って吹いたのはご愛嬌ッ!

これでクリスの心の影にも光が差し、ひとつの終わりが迎えられましたね。
今までは響や未来が彼女に手を差し伸べてきましたが、この先、響に待つ苦難が予想される中ひとつ、壁を越えたクリスがその手を掴んでくれる存在になってくれそうです。


それはそれとして。
切歌と調! 本来の目的忘れてるよこの子らッ!?
いやきっと思惑があるはずだ。うん。
完全に歌に聞きほれてうっとりしてたとか、感動して拍手してたとか気のせいだよね!
次回、二人の動向にも注目です。挑戦DEATHッ!