どいつもこいつもご陽気で……


あったかすぎるシンフォギア、本日23:30〜BS11にて10話放送ですです。

そして9話はこちらから。

以下、今更ながら9話のアレコレ。
10話が目前なので、手短DEATH。
その身にガングニールを鎧うごとに、確実に喪失へのカウントダウンは進んでいく。
固く繋いだその手でもって、遠ざかる親友の命を繋ぎとめんとする未来。
だがその想いとは裏腹に、その親友は笑顔でその手を解き離す。
「今日はもう少しだけ、私に頑張らせて」
その言葉に、己が無力さに打ちひしがれることしかできなかった。

そしてその手が再び繋がれることを、狂演の舞台は許さない。



撃槍のアレンジBGMからの、アバンですでに泣きそう。
だがしかし、未来さんへの安心感は揺るがないッ!

私「未来ーッ!!(何も心配していない顔で)


未来と二度と手を繋げないという悲壮な事実を目の当たりに、その身を鎧う意志を失った響。
そこに迫るノイズの群雀。

そこに駆けつけたのは、報告を受けた二人の装者、翼とクリス。
翼に響のフォローを任せたクリスは、怒れる銃口を敵へと振りかざす。

少しずつ蝕まれる自分の居場所、狂っていく状況へ、何がそれを引き起こすのかと激昂の銃砲を放つ。
それはノイズ、それを操るもの。それは、自身が目覚めさせたソロモンの杖
自身が禍根を作ってしまったことへの後悔、怒りが砲火となって激しく燃える。
それ故に、誰でもない自分へと叫ぶ。

「もう、逃げない――ッ!!」

4話で初めて出来た居場所へのありがとうは、それを蝕むものへの怒りとなって描かれます。
それは自分が禍根となっている事実、そしてそれへと対峙するためのクリスの決意。
この想いは、彼女が居場所を自覚したからこその、そこからの「さよなら」を示唆しているようで辛いです。


クリスの奮戦により、事態の収束を見るスカイタワー。
そこに見える、一人車内で消沈する響の姿。
二課のあったかいお姉さんことあおいさんが、その姿を案じてあったかい気を利かせます。
しかし、響にとって一番あったかい陽だまりが失われた今、彼女の慰めにはなりません。
あおいさんの、どうすることもできないことへの、不甲斐なさを感じる表情もまた、辛い。


一方で、もう一振りのガングニール、マリア・カデンツァヴナ・イヴもまた、自身の手が血に汚れていくことに、ただ慟哭する。
その状況に困惑する切歌、調の二人に対し、顛末を監視していたウェルが嬉しげに事実を開示する。
ナスターシャの米国との会談、そしてマリアをフィーネの再臨と騙っていた事。
この二つの事象をもって、ウェルは自身の正当性を語って憚らない。

ウェルの言葉は少なくとも、切歌には大きな動揺を与えました。
自身に宿るもうひとつの存在、それが間違いないということへの証左。
そしてこの大きな秘め事が、この後の調とのすれ違いに繋がってしまうというもどかしさが…。


そんなFISの動きをよそに、クリスは翼を食事に呼び出していました。
しかし、不機嫌な様子の翼。
奢るぞ? と注文を勧められても、自身の生活スタイルを理由に断ります。流石トップサキモリスト。

一方のクリス。
き、汚ァいッ!!
クリスの食事マナー、誰か矯正してあげてください。
翼さんの不機嫌な様子も、この見るに絶えない惨状が原因……というわけでもなさそうで。

周囲の状況や、自身への無力感に怒りを隠せない翼。
それに対し、話し合って協調しあう事を提案するクリス。
二人の想いは違わないはずですが、ずれ始めた歯車は、易くは噛み合わさりません。

「にっがいなぁ……」

手を繋ぐことの強さを伝えられた彼女だからこそ、現状を打開したいという想い。
それでも、別れた後の言葉には、未だ解けぬ自身のわだかまりへの本音もまた、垣間見えます。


そんな歯車のずれは、FISもまた。ウェル博士を中心に広がっていく。
この男の吐く言葉に疑念を向ける二人の前に、彼を支持することを宣言するマリア。
彼の方法でしか、世界は変えられない。力でもって、力を征する。
それは、世界の法則を敵に回してもなお、無辜の命を想う優しい彼女らしからぬ言葉だった。

「それが偽りのフィーネではなく、マリア・カデンツァヴナ・イヴの選択なのですね……」

マリアさんの痛々しさがヤバイ。
セレナの遺志を貫かんとした彼女の想いは、それが折れそうになった今手段も想いもゆがみ始めています。
たとえ世界を敵にしても、悪と断じる行為を振りかざしても、そのやさしさだけは捨てられなかった。
それを今自覚して、あえて捨て去ろうとする彼女のらしくなさは、調たちにも感じられています。

そんな状況で、ほくそ笑むのはウェル。
自身がその主導権を得る算段がたった事と、もうひとつの新しい切り札を得たことへの喜び。
唐突にウェルは、来客、という聞き及ばぬ言葉を持ち出す。

扉を開いた向こうに現れたのは、檻に囚われた未来の姿

とはいえ、彼女の無事は予想の範疇ですです。
むしろこれで、マリアらとの接点が出来たので仲良くなるチャンスです。
未来さんの誑しスキルが楽しみなくらいです(微笑


彼女の生存は、別の形で二課にも伝わっていました。
緒川さんが発見した未来の通信機、その移動記録から、第三者の手によって連れ出された事実。
この朗報に、響らも表情を明るくし、気持ちを一新します。

今はまだ手がかりもなく、手を出せない状況。
だが、だからこそ今出来ることをする。その為に師匠、弦十郎は一同を連れ出します。
気持ちを切り替えるには、一汗かいて歌を歌うことです。
そう、うつむきかけたときに、元気と勇気をくれる人間賛歌、「英雄故事」をッ!!

どこのトンデモ映画だッ!!
良いOTONA達の悪乗りに困惑するクリスと視聴者を尻目に、どいつもこいつもご陽気です。
慣れたモンな響も一緒に歌い始めるし、翼さんはスッキリした顔でこなすし、常識人のクリスには暑苦しすぎるあったかすぎますです。
それでも、このあったかさは、この状況にあっても揺るがないものを示す強さに、すごく安心します。
ああ、これは揺るがないんだなあ。安心してみていられる。

その一方で、揺らぎ続けるFIS。
マリアは未来の姿と逆巻く炎にセレナを思い返し、優しさを捨てる決意は未だ揺らぎ。
調は、弱者を虐げる強者の理論を振りかざすマリアの姿に困惑し、優しいマリアを思い返し。

そして、切歌は一人秘めた恐怖に、戸惑い続けています。
抱えた恐怖は一番大切な人にも伝わらず、誰にも告げられない迫る恐怖を前に、戸惑い追い詰められていく切歌。

ただ一人、自身の夢へと脇目もふらず邁進する、Drウェル。
そして、そんなウェルによって、ひとつの提案をされる未来。

それぞれの思いをよそに、事態は切迫を極めていく。

二課は、響に迫るガングニールの侵食、それによる喪失。
FISは、追い詰められる状況に、ナスターシャの悪化する病状。

それぞれに迫る刻限を前に、FISが動きに出ます。
哨戒中の米国船への強襲を契機に、自身らの人類の救済の旗揚げを為さんとするウェル。同調する、優しさを捨てたマリア。
それは弱者を生み出す強者の所業だと、わかってはいても。
渦巻く苦悩をかみ締め、その決断を貫くことを恐れはしないと強がるマリア。


時を同じくして、その襲撃の報を受けた二課にも、応援の要請が入る。
FISの動きを前に動こうとする響に、今度はクリスが「死ぬ気か」と声を荒げます。

「お前は、ここからいなくなっちゃいけないんだからよ」

未来が響にとってのひだまりであると同時に、その響がここからいなくなってしまっても駄目なんだ。

そんな優しい言葉と同時に、「お前”は”」という言い方には一抹の不安がぬぐえない。
最近のクリスの言葉は、そんな言葉ばかりで不安になります。



米軍へと放たれるノイズの群れ、その惨劇をしっかりと見据え、かみ締めるマリアの姿。
その本心を問いただす調は、彼女の胸のうちの苦しみを見抜く。
本当に助けたいもののために、彼女は切歌の静止も振り切り単身動きます。

誰よりも優しくしてくれたマリアの、その本心に報いたいと動く調。
FISはテロ組織なれど、それは世界の構造への敵対の手段としてのもの。
その想いを踏みにじるウェルの行いには、手段を選ばず抵抗する、調らしい思い切りのよさ。
それぞれが思い淀む新フォギア組の中で、しっかりと想いを行動にしてくれた調の素敵さが爆発しすぎてるッ!

そんな調を見て困惑する切歌。
その肩をつかみ、連れ戻したいならば、とウェルはひとつの案を提示します。
その方法とは。


一人船上に降り立った調は、単身ノイズの群れの中を駆け巡り掃討して行きます。
降下中の対地射撃の百輪廻からの、集団の中心へと踊り出ての卍火車
氷上を踊るかのような舞を見せながらの流れるような斬戟は、彼女のシュルシャガナの見た目に反しての汎用性の高さを見せ付けます。
あとローラーダッシュの格好良さは異常だと思います。

それでも多勢に無勢、刹那の隙に背後を取られる調。
その窮地に切歌が割って入ります。
大切な仲間からの助力。
調べは、安堵の笑みで振り返り声をかけようとします。
ですが、次に差し出されたものは、思いもよらぬ感触。
首筋に突き注がれるそれに、身じろぎひとつできず、ただその真意を掴みかねて見返すことしかできません。

アンチLiNKERによって、調のギアを鎮圧する。
それが、ウェルの提案でした。
ギアとの適合を失い、ふらつく調を見つめる切歌の表情もまた、哀しい。

ウェルの言葉によって行動に出た切歌の決断は、この男の凶行に追随するという道でした。
ほかの手段が見えない中、調が生きる世界を守り、想い出を残したいという切なる願い。
いずれ自身が自身で無くなるという運命を前に、少しでも大切な人の想い出に残りたい。
どうしようもない宿命を前に下した決断は、ただ悲壮すぎる。

そんな二人の想いをよそに、突入するはミサイルで射出された翼とクリスッ!
イントロだけで制圧する翼さんの圧倒的防人力は流石の一言です。
強い、強すぎるッ! サキモライザーッ!!

一方で調にウェルの居場所を問いただすクリス。
ソロモンの杖を操り、ノイズを召喚する者がすぐそばにいるであろう現状に、あきらかに焦りを見せる。
再び振るわれたノイズによる蹂躙に、怒りと自責の思いが抑えられません。


一瞬でひっくり返された盤上。二人の装者は動けず、ヘリはステルスもなく洋上で包囲。
それにも動じないウェル博士は、端末を操作しはじめます。

天秤を元に戻す、と豪語するほどに切り札といえるものを持つのか。
まさかアレを、とマリアも狼狽するその一手とは。


静寂を突き穿つ、耳慣れぬ聖詠

神獣鏡-シェンショウジン-

その言葉を認識すると同時に、閃光とともに降下する一人の装者。

煙幕の切れ間より、垣間見えたその影は。

「未来――?」

かけがえのない、陽だまりの変わり果てた姿でした。




ぎゃああああああッ!!??

陽だまりが! 陽だまりがッ!?

金子先生、日常の象徴って言ったそばからこれかよぉッ!!?


すべてを喪失う、という言葉は、まごうことなく正鵠を射た言葉でした。
自身よりも失いたくない一番大切なものさえ、こうもたやすく奪っていく狂演の舞台。

だけど、もう失うものはなくなった。
あとはただ、再びその手に取り戻すだけッ!!

頑張れ響ッ!!